けれど授業中でゆっくり眠れるはずもなく、浅い眠りだった私は夢をみていた。
それも昔の記憶に近い夢。
誰と一緒にいたのか、どんな状況だったのかは曖昧でよく憶えていなかったけれど。
私と同じくらいの身長の子が左側に立ち、私の服をぎゅっと掴んでいた。
これは誰なのだろうか。
祐樹なのだろうか。
昔のことなんかほとんど思い出せなくて、そもそも思い出したくなくて。
忘れたかった私はそれ以上夢をみることを拒否するかのようにして、ゆっくりと目を開けた。
「……ん」
顔を上げ、まだ少し頭がぼーっとする中時計に目をやる。
するとまだ数分しか経っておらず、実質ほんのわずかの時間しか眠っていなかったようだ。
それにしても何か大事な記憶を忘れているような気がする。
いや、別に忘れたままでいいのだけれど。
だって私は過去の自分を殺したことにしたのだから。
子供の頃の記憶も全部忘れようと、頭の中は常に両親を殺した相手のことばかり考えていたから。
そうすることで“表の自分”を作り、“裏の自分”と完璧に切り離すことができたのだ。
けれど───
ここまで思い出してしまうと、逆にもやもやする。
思い出したほうがいいのかもしれないとすら考えてしまうほど。
結局解き明かすことができないまま、心の中の靄が晴れることはなかった。



