危険な愛に侵されて。





「さすがに食材切ってるやつで死にたくないでしょ?」

「うん、結構嫌」


やけに素直で甘えるような声。
殺気を感じ取ったというのに、私から離れようとせず。

むしろぎゅっと抱きつく力を強めてくるばかり。



「……朝、この学校に来てさ」


ぽつりと彼が小さな声で話し始める。
まるで無意識のうちに話しているかのように。


「お前見た時、本気でショックだった」
「……え」


意味のわからない言葉。

ショックって、この間殺そうとしてきた相手が学校にいたから?


けれどそんなことでショックと言うものだろうか。
雪夜の意図がわからず、また彼が口を開くのを待つ。


「……この前はなんとなく似てるなってだけだったけど、今日見てはっきりとわかったから」

「何が?」
「……っ、お前嫌い」


やけに傷ついたような声。
いったい彼は何を言いたいのだろう。

まったく話が読めず、ただ食材を切る手だけを動かす。