部屋着を着た私は仕方なくキッチンに向かう。
ひとりでふたり分の料理を作るのは新鮮で、変な気分になっていると───
「……ねぇ、邪魔」
いつのまにか私のそばにやってきた雪夜が、腰に手を巻きつけてぎゅっと抱きついてきた。
まるで新婚夫婦のような体勢だ。
「ひとりであの部屋いても面白くねぇ」
「この包丁で刺しても知らないよ?」
「そん時はわかるから大丈夫」
前から思っていたけれど、彼は相手の殺気を感じるのが人よりも早い気がする。
「……察知能力でもあるの?」
「さあな。人より他人に敏感なだけ」
「……へぇ」
わざと興味のないフリをするけれど、今の言葉で何となく彼の過去に何かあったのだということを悟った。
もしかして彼自身の親も殺されたのか。
かと言って私の親を殺したことは許されない。
思わず過去のことを思い出してしまった私は、乱暴に食材を切ってしまい。
「……殺さねぇの?」
「え……」
「今、すげぇ俺のこと憎く思ってるだろ?」
気のせいだろうか。
少し彼の声が寂しそうに聞こえるのは。



