「本当は嫌だけど、仕方ないよな」
「……祐樹?」

「俺に入る余地なさそうだし。
喧嘩したらまだわかんないけど」


ふっと息を吐くように笑い、祐樹は私たちから離れる。


「じゃ、俺帰るわ」
「……え」

「邪魔者は退散だな。家でゲームでもするか」


戸惑う私をよそに、自分の鞄を手に持ってドアへと目指した彼。

そしてドアノブに手をかけたかと思うと、私のほうを向いて───



「じゃあな、また学校で」

吹っ切れたような笑顔。
それから、『涼雅は任せたぞ』という口パク。


任された、涼雅のことを
幼なじみとして、祐樹も涼雅のことが放っておけないのだ。


「……任せて」

必ず涼雅を支えるよ。
もう自殺しそうになる程、追い込ませない。


強い意志を込めて私も笑い返し、まだ小さく震える涼雅をぎゅっと力強く抱きしめた。