「だから涼雅を殺せって…?」
バカバカしい。
自分をここまで苦しめる必要はないというのに。
どれだけ私の心が彼で占められているのか知らないのだろう。
「ねぇ、確かに私は涼雅の母親が憎いよ。
今の話を聞いてより一層憎いと思った」
「……っ、だったら尚更」
「だって昔も今も涼雅を縛ってる、苦しめてる。どうして母親にここまで苦しめられないといけないの?」
涼雅に暴力を振るって。
私の両親を殺して。
今度は精神的に涼雅を苦しめる。
ねぇ、彼は何をした?
両親を含め私たちはいったいあなたに何をしたの?
苦しみもがく涼雅を見ると、自分は冷静にならないといけないと思った。
どうかふたりで───
「ねぇ、秋崎さんと涼雅の母親を殺めるんじゃなくて捕まえよう」
冷静になって思った。
殺してしまえば一瞬の痛みで終わってしまう。
それなら“捕らえて生かせる”形のほうが、相手にとって辛いんじゃないかと。
自由を奪われ、薄暗い中で。
何もない日々を過ごすほうがずっとずっと辛いかもしれない、と。



