危険な愛に侵されて。




私の両親を殺した犯人を、今確かに涼雅が言った。
けれど誰だって言った?


“涼雅の母親”だと言わなかった───?



「……う、そ…」

振り絞るように出した声は情けないもので。
自分の声が震えているのがわかる。



「だって……あの後はもう涼雅の母親と接点なんて」
「恨んでたんだ」

「え…」


「俺の母親は、俺を庇った静音の両親のことを恨んでた。それだけじゃなくて虐待が父親にバレた時、母親は静音の両親に助けを求めて……経済的な支援。

そんな都合のいい話、通るわけないのに。それで断られ、行き場の無くした母親はずっとふたりを恨んでた」



ゆっくりと、震える声で説明していく涼雅。
語られるのは両親が死んだ時の“真実”


「だから殺したんだ、俺の母親が静音の両親を」


涼雅が顔を上げる。
その瞳は潤んでいて。



「……なあ、ここまで聞いてもまだ俺を殺したいと思わねぇのか?俺を殺せば少しは楽になるだろ。だって俺は、その母親の血が流れてんだ。

母親の血が受け継がれるのを、お前が絶てばいいんだ」


さらにその瞳には輝きがない。

そんな彼を見て、逆に自分が冷静になるのがわかった。