危険な愛に侵されて。




現実に引き戻されたような、そんな感覚に陥る。



「りょ、が…?」
「復讐、したいんだろ?」

「……え」
「なら俺を殺せばいい」


涼雅は自分の履いているズボンのポケットに手を入れ、中から取り出したのは私がよく常備しているような折りたたみ式のナイフで。

それを開き、私に持たせる。


「な、にして…」
「十分苦しんだんだ。ズタズタに殺ればいい」

「は…」

「ほら、早く。
再会した時みてぇに、首狙って」


落ち着いた雰囲気を漂わせる涼雅が、私の手首を操り。

自分の首元にナイフの刃先を当てた。



復讐したかった当初。

この首をめがけ、ナイフを振り下ろしただけですぐ掴まれた手首。


けれど今は逆だ。
むしろ催促されている。

ドクドクと速まる鼓動。
嫌な汗も流れて。



「静音なら簡単に死なせることできるだろ。
喉狙った後は自由に刺せばいい」

「……っ、そんなことできるわけ───」
「殺してぇんだろ!?」



不安定な涼雅。
突然怒り狂ったように叫ばれる。

我を失っている様子で。
涼雅が涼雅じゃないということが、今のでわかった。