手で口元を覆って声を漏らさぬよう必死で、まったく打開策が思い浮かばない。
頭がぼーっとしてきて、このまま好き放題やられてもいいんじゃないかと思ってしまう自分もいるほどだ。
ああ、本当に意志が弱い。
「かわいい女に育ったな」
悔しい、たった一度体を重ねただけでこんなにも抗えない自分がいることに。
「……あっ」
最後に太ももがチクリと痛み、ようやく雪夜が私を解放してくれた。
「人殺そうとする悪い奴には制裁を加えないとな?」
「……っ、どの口が言って…」
あんたは実際に殺しているじゃないか。
なのに証拠がないからって捕まらない、制裁を受けない。
目の前の男のほうがよっぽどタチが悪い。
けれど彼は私を思うがままに弄びたいらしく、顎をグッと持ち上げてきた。
「お前みたいな反抗する女、飼い慣らしたくなる」
「……っ、誰がそうなるか」
「へぇ、じゃあ試してみる価値はありそうだな」
「離せ…!」
本当に弱い自分が嫌だ。
こんなにも好き勝手やられて、抵抗も虚しく終わるだけ。
何が復讐だ。
こんなのでは彼を殺めることなんてできない。



