「寝不足だと体調も良くないから、余計不安になるだろ。とりあえず寝よう」
いつになく真剣な表情の祐樹は、私のことを考えて動いてくれているのだ。
保健室に着き、先生には気分が悪いと嘘をついてベッドに行かせてもらう。
もうすぐ授業が始まるけれど、祐樹はまだ私のそばにいてくれて。
「祐樹、授業が…」
「いいから。静が寝るまで俺は動かない」
何とも強引な彼。
どうやら私は無理矢理でも寝ないといけないらしい。
「……祐樹」
「うん?」
「ありがとう」
いつも思う。
私にはもったいないくらい優しい幼なじみだって。
「バカ、お礼言うなら早く元気出せ。
涼雅にその顔見られたら笑われるぞ」
「うん、本当だ」
絶対バカにされる。
『俺を弱いもの扱いするな』って怒るかもしれない。
それでもいいから早く会いたいと思うのは、自然などだろうか。
祐樹がそばにいてくれたため、余計なことを考えずに済み。
眠気がやってくる中、ゆっくり目を閉じれば───
「涼雅は何やってんだよ」
少し怒りが含まれた声が聞こえたのを最後に、私の意識はそこで途切れた。