「昔も今も、俺の中でお前の存在はでけぇよ。コンプレックスだった自分の名前すら、魔法のように御園は“好き”に変えさせてくれた」
「……名前?」
「ああ。もしかして忘れてる?」
だとしたら拗ねるぞって、子供っぽく笑ってきて。
素直に頷けば軽く頬をつねられてしまった。
「痛いよ、もー」
嘘、まったく痛くないけれど。
緩々の頬を隠すように怒ったふりをする。
「結構思い出深いことなのに」
「え?」
「昔の俺は自分の名前が嫌いだったから。“涼雅”って名前はかっこいいのに、それに見合ってないって」
「……あ」
そこまで言われてようやく思い出した。
“雪夜涼雅”
ある日、すずくんは自分の名前が嫌いだって言い出して。
私の部屋で泣き出してしまったのだ。
そこで考えたのは“ふたりだけの呼び名”
実は私も自分の名前について、友達から言われることがあったのだ。
『静音ちゃんって、名前はおとなしそうなのに全然違うね』
子供だったから悪気なんてなかったと思う。



