危険な愛に侵されて。




同情の涙ではないということはなんとなく察せられた。

私の知らない“何か”がふたりにはあると。



「本当に大丈夫?」
「う、ん…っ、神田くんのそばにいる」


ぎゅーっと神田にしがみつき、泣き止む様子はなかったけれど。

ここから去りたくないようで、はっきりと言い切った。


そんな未央ちゃんに優しく笑いかけ、頭を撫でる神田。


必死で未央ちゃんが嗚咽を漏らさぬよう我慢して泣いている中、彼はまた口を開いた。


「それで母さんの殺しに加わった奴らは、誰一人捕まっていない」


ドクンと心臓が大きな音を立て。
神田から目を逸らせなくなる。

同じだ、と思った。


私と状況が似ている。



「……あ」

うまく声が出ない。
聞きたいことがありすぎて。

いつのまにか目の前の彼に恐怖心を抱くことがなくなり、さまざまな思いが交錯した。


「知ってるよ」
「え…」

「御園さんも両親が何者かに殺されたってことを。それを知ってたのに、俺はどうして危害を加えようとしたんだろう」


自分を責めるような言い方。
我を取り戻した今、先程の行動に後悔の念があったらしい。


その時パッと未央ちゃんが私のほうを向いて。
涙に濡れた瞳が少し見開かれている。

どうやら未央ちゃんは知らなかったようだ。