「秋崎さんはこの組の裏切り者なんだ」
それだけじゃない気がした。
その裏切りで組に危険が及んだかもしれないけれど。
明らかに神田だけが秋崎さんに対して怒りを露わにしているような気がしたのだ。
「……他には?」
そのため思わず聞いてしまう。
次の言葉を───
「俺が子供の頃、母さんが殺された」
「……え」
落ち着いた、温かな空気が一変して。
未央ちゃんだけでなく雪夜も目を見張るのがわかった。
ふたりは恐らくこの話を知っているのだ。
「秋崎さんはその時、敵の内通者だったんだ。だから簡単に敵に囲まれ、母さんは俺の目の前で撃たれて死んだ」
感情を殺して話しているのがわかる。
悲しみや苦しみなどの感情が一切感じられず、無表情で。
逆に未央ちゃんの様子がおかしくなった。
突然肩を震わせ、気づけば目から大粒の涙を流していたのだ。
「……未央、ごめんね。
この話は辛いよね」
「……っ」
「やっぱり未央は部屋に戻ろう」
未央ちゃんは首を小さく振るだけで、顔を神田の胸元に埋めてしまう。



