「未央…」
「それに今の神田くんは少し変だよ、余裕がないの。何があったの…?どうしてこんなに静音ちゃんを捕まえようとするの…?」
宮木さんと似たような言葉にどきりとした。
“余裕がない”
私が神田を見て感じ取った、焦りのある感情と関係があるのだろうか。
「……うん」
一度神田が小さく息を吐いたかと思えば。
ふと雰囲気が和らいだのがわかった。
それは私だけでなく、この場にいる全員が感じ取ったことである。
「未央、こっちに来て」
ひどく優しい声。
やはり未央ちゃんに向ける声に視線は特別である。
それほどに大好きなのだ。
恐らく未央ちゃんがここに来てくれなかったら、状況は悪化していたことだろう。
ある意味、神田の目を覚まさせたのかもしれない。
「静音ちゃんに何もしない…?」
「うん、何もしないって約束する」
「ほんと?」
「疑うの?」
それから幼い子供のようなやり取りをした後、神田を信じた未央ちゃんが彼の元へ向かった。
神田は大胆に未央ちゃんを抱きしめ、視線を伏せる。



