危険な愛に侵されて。




「それは俺だって同じに決まってんだろ」

「ねぇ、俺の話ちゃんと伝わってる?
“話”だけで済ませられない?」


少し目を細めた神田に、どうしようもなく恐怖心を抱き。

“話”以上のことがあるような気がして。



一歩、神田が前に動いたと思った瞬間───


「だ、ダメ…!」


焦りの含まれた高い声が聞こえてきた。
それは明らかに女の子のもので。

すぐに未央ちゃんだとわかった。



「神田くん、ダメだよ…!」


声のしたほうに視線を向ければ、私服姿でメイクを落としている未央ちゃんが私の前で止まった。

かと思えば私を庇うように両手を広げ、神田と向き合う形になって。



「……未央?」

さすがにこの行動には動揺したのか、神田が目を見張って彼女の名前を呼んだ。


「どうして静音ちゃんを捕まえようとするの…!私を守ろうとしてくれたのに、静音ちゃんが敵なわけないよ!」


さらには神田を責めるような口調。

そして今度は私の腕にぎゅっとしがみつき、まだ神田に言葉を放つ。


「静音ちゃん捕まえるなら私もついていく…!静音ちゃんに酷いことするなら私にも同じことして、じゃないと絶対静音ちゃんは渡さないもん」


未央ちゃんの指先が震えているのがわかる。
きっと相当覚悟を持って私を庇ってくれたのだ。