「神田様の上に立つのが組長です。力で神田様が勝っていようと、長年の実力と信頼は組長のほうが上です。
つまり誰も逆らえない、組長の命令が一番絶対ですので」
その言葉には妙に説得力があった。
確かに神田は強い。
雰囲気からして周りを脅かす、危険な存在である。
けれどその上を行くのが実の父親である組長なのだ。
実際、神田も組長に従っている。
「それに今の神田様も、少々理性を欠いておられる。
やはり神田様にも冷静な判断を行ってほしいと思っています」
まるでこの組のことをすべてわかりきっているような言い方。
確かにそうかもしれないけれど。
私にだってわからない神田のことですら、宮木さんは知り尽くしているのだろうか。
「───何の話をしているのですか?」
突如耳に届いたのは、恐ろしいほどに冷静な声。
まったく相手の気配すら感じていなかった私…だけでなく、宮木さんも咄嗟に声のしたほうを向いた。



