「わかったから離れてっ…」
「無理。まだ着くまで時間あるし」
私の焦る反応を見て笑みを浮かべ、顎を持ち上げてくる雪夜。
キスでもするつもりだろうか。
「き、キスしたら…グロスつくよ、いいの?」
「へぇ。キスされるって期待してんだ?」
「……っ、そんなつもりは」
ああ、恥ずかしい。
確かにキスされるかもと思ったけれど、期待していたわけではない。
それでも私の言葉を聞いてそう考えてしまうのも頷ける。
だからこそ恥ずかしいのだ。
「本当、隙だらけだな」
「うるさい…!」
「こんな見た目なのに、かわいい焦り方してな?」
「……っ」
余裕な笑みを浮かべる雪夜に対し、恥ずかしさだけが増していき。
思わずぎゅっと目を閉じてしまう。
「相変わらずお前は俺を刺激する」
「し、知らない……もうこれ以上はダメ、だから!」
ふるふる首を横に振れば、ようやくわかってくれたのか、雪夜が私から離れて。
その後会場に着くまで私は熱くなる顔を手で仰ぎ、必死で落ち着かせようとしていた。



