「メイクで女は怖いくらい変わるからね」
「確かに変わってる、けど…」
ようやく雪夜が太ももに置かれた手を離したかと思うと。
今度は頬にそっと触れてきた。
「やっぱ御園は御園だな。
俺はどんなお前でも嫌じゃねぇよ」
さらにはコツンと、優しく額をくっつけてきた。
途端に熱くなる顔。
わざとやっていると思いたくなるほどだ。
それも、遠回しに好きと匂わせてくる辺りずるい人間。
「な、に…いきなり」
「その反応、やっぱり俺を刺激するんだよなぁ」
意地の悪い笑みを浮かべる雪夜を、私は久しぶりに見た。
今まで甘えたがりだったくせに、突然スイッチが切り替わり危険な空気が彼を纏うのだ。
「もうすぐパーティー始まる…」
「ならキスもお預けな感じ?」
「うん、ダメ…まだ心の準備が」
今でも十分ドキドキしているのに、キスなんかされたらたまらない。
「……ふっ、素直なやつ。
本当にお前ってかわいい」
ドキドキが止まらなくなり、胸が苦しくなる。
どうしよう。
このままだと雪夜のペースに飲まれてしまう───
その時、まるでこの空気を引き裂くかのようにドアが二回ノックされた。



