危険な愛に侵されて。




担任の先生と入れ違うようにして、1時間目の授業である現代文の先生が教室に入ってきた。


最悪だ。

こんな時に限って教科書を頻繁に使用する授業だなんて、本当についていない。



「転校生の雪夜、は……見せてもらってるのか」
「まだ手元にないんで御園さんに見せてもらいます」


できれば『ダメだ』と言って欲しかったのだけれど、先生は『そうか』のひと言で終わってしまった。

そして始まる授業。


最初は前回の復習から入り、みんな黙って聞いている。


そんな静かな空間の中、私は隣に座る彼に神経を尖らせた。


思い切って今刺してしまおうか───

そんな考えすら頭に浮かんでしまうほど、隣の彼を消したくてたまらない。


正直できないことはなかった。

だって鞄に入ってあるポーチの中に、護身用のナイフを常に忍ばせているから。


ただ殺せたとして問題はその後だ。
どうしてもこの学校から捕まらずに逃げれる自信はない。


まあ彼を消せたらもう心残りはないため、捕まっても構わないのだけれど。