鈍感で天然とは恐ろしい。
「そうだなぁ。
あんな涼雅、久しぶりに見た」
「じゃあ最後に見たのは…?」
「小学生の頃だったかな」
さらっと口にする神田だったけれど、その言葉の背景には容易に想像できないほどのことがあったのだろう。
雪夜は恐怖を植え付けられたのだ、簡単に消せるとは思えない。
「そっか…でも、もう大丈夫だね」
にこにこ笑う未央ちゃんだったけれど、妙にその言葉には説得力を感じられて。
不思議な人だと思った。
そう思わせる雰囲気を彼女から感じるのだと。
「幼くなるって言われてるけど、離れなくていいの?」
「……認める」
「認めるなバカ」
雪夜のことだ、イラっときて私から離れるかなと思ったけれど。
すんなり認めてしまうものだから、逆に突っ込んでしまう。
「あー、もうグチグチうるせぇな」
「なっ……」
すると何ということだろう。
痺れを切らしたのか、雪夜が文句を言ったかと思うとようやく私から離れたけれど。
ムキになった子供のようで、苛立ちを通り越してしまった私は逆に何も言えなくなる。



