「もー、未央は意地悪だね」
「意地悪なのは神田くんだよ…私、静音ちゃんの隣に座る」
「ダーメ、未央は俺の隣」
「やだ、静音ちゃんがいい…!」
逃げるように私の隣に座った未央ちゃんは、ピタッと私にくっついてきた。
その姿に思わず抱きしめたくなったけれど、雪夜のせいで自由がきかないため諦める。
「白野、どけ」
「やだ」
「邪魔すんな」
「やーだ!」
それを不服に思った雪夜が未央ちゃんに文句を言うけれど、彼女は私から離れない様子。
なんだかふたりの子供を相手にしている気分だ。
「いつも涼雅くんは静音ちゃんと一緒にいる!
だから今日は私がいるの!」
負けじと言い返す未央ちゃんのかわいさに、女の私もやられてしまいそうだ。
この子は本当に危険。
「未央、俺のところには来てくれないの?」
ふたりのやりとりを聞いていた神田がテーブルを挟んで座り、未央ちゃんを寂しげに見つめる。
そのためこのまま未央ちゃんが私の隣にいると、私自身の命が危ない気がした。



