幸い笑い声などで騒がしかったため、周りに聞かれることはなかった。
「まさかお前だったとは」
「……っ、雪夜涼雅くんって素敵な名前だね!涼雅って呼んじゃっていい!?」
勢い余って大胆なことを言ってしまった私。
けれどそうでもしないと彼はすべて話してしまいそうな気がしたからだ。
「御園、すげぇ積極的だな…」
「これは応援しないと!」
結果、周りが本当に彼を気に入ったのだと誤解してしまい。
何故だか一体感があった。
「御園、そんなに雪夜気に入ったんなら学校紹介お願いしようかな」
その時先生が良からぬことを言いだしてしまい。
クラスのみんな『賛成』だの『決まり!』だの言って、肯定の言葉をそれぞれ口にしていた。
つまり私にすれば都合の悪いことで。
「いや、あの緊張しちゃうから…」
「せっかくだしお願いするか。
御園さん、学校案内よろしくな」
私が嫌いである余裕の笑みを浮かべ、逃げられないような言葉を投げかけてくる。
絶対わざとやっているに違いない、最悪だ。



