危険な愛に侵されて。




「どうしよう、いざイケメンが来たら逃げたくなるんだよね…」

「大丈夫でしょ、静音はかわいいんだし!
黙ってれば!」

「何それひどい!」


なんて言って笑うけれど、その間にも彼は私の元へと近づいてくる。

圧だけでなく視線もすごく感じた。


「……よお」

素通りしてくれれば良いものの、私の隣に来たかと思うと話しかけてくる。



「……っ、あ、御園静音でふ…って待って、噛んじゃった!」

「あはは!静音緊張しすぎだよ!」


私が噛んだことによってクラスに笑いが起こり、先生までも笑ってきて。

これでいいのだ。


もちろんわざと噛んだように言った。

そうすれば空気が和むし、より一層“裏の私”とは遠ざかるだろうから───



「恥ずかしいよ、お願い今のは無かったことに…」
「また会ったな」


ある意味作戦が成功したのだと思っていたら、突然彼が悪そうな笑みを浮かべてそう言った。



「……え」

そのため鼓動が速まり、嫌な汗が流れる。