「……悔しい?」
顔を上げ、雪夜を見ると視線が絡み合った。
彼も私を見下ろしていたらしい。
「なんでそんな嬉しそうなんだよ」
私の表情を見るなり、より一層不機嫌なものへと変わる雪夜。
「でも私は一応雪夜のものだから、祐樹に心が揺らぎそうになる前に拒否したよ」
「だから嬉しそうに言うことじゃねぇって。心揺らぎそうになる時点でおかしいだろ、考えろ」
軽く頭を叩かれてしまい、ムッとする私。
さすがに暴力は反対だ。
まったく痛くなかったけれど。
「絶対お前のことだからまた祐樹にも揺らぐだろ?」
「だって幼なじみとしか思ってなかった相手が急に男らしくなってみなよ。
絶対戸惑って揺らぐっていうか、変な意味じゃなくて男らしい姿もあったんだっていう発見が……っふ」
本心を言葉にしていると、雪夜に唇を塞がれ制されてしまう。
「……言い訳つらつら並べんな、腹立つから」
確かに今の雪夜は苛立っている。
それなのに嬉しいと思ってしまう私は不謹慎だ。



