危険な愛に侵されて。




私にもう、支えなんていらない。
ひとりで殺ってやるんだ。


「また始まった、夫婦喧嘩」
「本当お前ら飽きねぇな」

「ふっ…!?誰が静を嫁にするか!!」


いつものように周りに茶化され、顔を真っ赤にする純粋な祐樹。

そんな彼の様子を見て、私は胸がズキっと痛んでしまう。



「え、夫婦喧嘩?誰のこと言ってるの?」

「もー、イケメン好きなのに鈍感なのも静音らしいけどさ、そろそろ気づいてあげようよ?」

「ばっ、お前余計なこと言うな!」


私の前の席である子の言葉を遮るようにして、バカと発言する祐樹。


───ごめんね、祐樹。



もうずっと前から祐樹の私へ対する想いに気づいてはいるけれど、今も気づかないふりをしている自分がいて。


だって汚れてしまった私は。
闇に手を伸ばしてしまった私は。

もう純粋な世界を生きる祐樹と一緒にいられることはできない。



「こらー、イケメン雪夜の自己紹介聞きたい奴もいるだろうから静かにするー。特に御園と渡辺」

「えぇ!?私もですか、先生!」
「御園が一番うるさいわよ?」


容赦なく先生は私を責め、その結果自然と雪夜涼雅の視線が私に向けられる。