「これがお前の両親を殺した相手だ」
サングラスをかけ、いかにも怪しげな男は私をここまで育ててくれた恩師。
女は男に劣っているため、勝つための技術をたくさん教えてくれた。
それは全部、私の両親を殺したと言われる相手に復讐するため。
ついにその時が来たのだ。
「名前は雪夜 涼雅(ゆきや りょうが)。今までお前が相手してきたやつと同じだと思うな、こいつは強い」
初めて恩師である男が“強い”と認めたこの男。
雪夜、涼雅───
写真では銀色の派手な髪をしており、顔も整っている。
俗に言う“イケメン”と言える人間だ。
見た目は若い気がするが、写真でも相当な実力者だということが伝わってきた。
「はい。十分気をつけます」
「……ああ。あくまで慎重に行くことを忘れるな」
きっとこの男はわかっている。
雪夜涼雅を目の前にすると、我を失ってしまうかもしれないということを。
けれど絶対にそんな失態はしない。