「……うん」
少し残念と思うのは、機嫌を損ねた雪夜を見たかったからだろうか。
それとも雪夜が私のことを好きかもしれないと思い、嫉妬してくれることを期待していたのだろうか───
その時ふと頭に浮かんだ疑問。
雪夜は私のことをどう思っているのか。
彼から“好き”などという言葉は一度も言われたことはない。
ただひとりの女に執着したいだけなのだろうか。
そう思うと少し悲しく思うのは、本気で恋愛をしたことがないせいにする。
それから先を歩く雪夜についていき、学校の外へと出た。
「良かったな」
駅までの道には生徒がちらほらいる中、雪夜がはっきりとした声でそう言った。
それも投げやりではなく、優しい声で。
「何が?」
何を指しているのかわかっていたけれど、あえて聞こうとする私はどうして意地になっているのだろう。
「祐樹と、ちゃんと話せたんだろ?」
けれど彼はまたさらっと答えてしまう。
面白くない。



