今まで彼のことを幼なじみとしか見えていなかったけれど、“男の人”だと思わせられる。
「ケチだな」
「変態っ……教室戻る」
このまま祐樹といれば調子が狂ってしまいそうで、その場から離れようと立ち上がる私。
その時少し強い風が吹き、ブレザーの着ていない私は思わず肩を震わせた。
今になって体育後の熱が冷め、体が冷えてきたのだ。
「寒い?」
「うん、ブレザー着ずに来たから」
「それなら俺の貸してやるよ」
すると祐樹が突然、自分の着ていたブレザーを脱ぎ出したかと思うと、私の背中に被せてきた。
先ほどまで祐樹が着ていたということもあり、暖かくて体の震えがおさまった。
「……あったかい、ありがとう」
ここは素直に甘えさせてもらうことにした。
そんな私を見て祐樹は微笑んだかと思うと、頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
「もー、髪がボサボサになる…」
「かわいいやつだな」
「……っ、早く戻るよ」
かわいいと言われることに慣れていない私は恥ずかしくなり、照れ隠しに顔を背け祐樹の一歩前を歩く。
「そうだな、ここ結構寒いし」
「借りてていいの?」
「別にすぐ教室だし、これぐらい平気」
平気だと言って明るく笑う祐樹につられ、私も笑みがこぼれ。
いつのまにかふたり並んで教室まで戻る。
彼の温かさに触れた私は、心まで温かくなっていた。



