無理矢理雪夜のものにされた身なのに。
普通は好きではないと答えるのが妥当だ。
いったい何の迷いがあったのだろう───
パッと校舎に視線を向ける。
先ほど雪夜がいた場所に。
けれどもうそこに雪夜の姿はなく、誰もいなかった。
「俺、諦め悪い男だってこと覚えておいて」
その時、視線を合わせようとしない私の両頬を手で包み込み、無理矢理彼のほうに向けられる。
珍しく押せ押せで、強引な祐樹。
こんな姿もあったんだと驚きすらある。
先ほどだって少し色っぽい雰囲気を纏い。
学校だというのに、あんなギリギリなことをしてきたのだ。
「学校であんな変態なことしてきたもんね」
「照れた静も同じだから」
「なっ…あれは、反射で」
「言葉でしか抵抗しなかったくせに」
また意地悪く笑う祐樹。
私の知らない彼の“新しい表情”が増えていく。
「さっきの女らしい静、俺にもっと見せて」
「……っやだ」
祐樹が甘い、甘すぎる。
優しい誘いに中途半端な心が揺らぎそうだ。



