ある意味驚くということに関しては、予想通りの反応なのかもしれない。
“汚れている”
その言葉で大体のことは察してくれただろう。
つまり後は、蔑むような視線を向けられるだけで───
「……けど、どう思うかは他人の勝手だろ?」
「え……」
「俺は静が汚れてるだなんて一切思わない。むしろそこまで追い詰めてた静に何もできなかった自分が悔しい」
祐樹からは動揺の色が見えない。
真剣にそう思ってくれたのだ。
「ひとりで全部、抱えてたんだな」
誰もいない中庭とはいえ。
周りは校舎で囲まれている。
廊下を通る誰かがふとした瞬間に窓から中庭を覗けば、見られる可能性だってゼロではないというのに。
祐樹は構わず私をそっと抱き寄せた。
「……ゆう、き」
「なあ、静は俺が知らないところで何してた?」
子供をあやすような言い方をする彼。
さらには私の頭を優しく撫でてきた。



