切なげに揺らぐ瞳。
その途端、昨日の記憶が脳裏をよぎった。
祐樹に話すことができず、ただ謝ることしかできなかった私。
いったい祐樹になんと言われるのだろうか───
「静、ごめんな」
「……え」
謝るのは私なのに。
祐樹から謝られ、戸惑いを隠せない。
身構えていた分肩の力が抜け、今の私は情けない表情だと思う。
「なんで、祐樹が謝って…」
「ずっと逃げててごめん」
祐樹の手が伸びたかと思うと、私の片手をぎゅっと包むように握ってきた。
「昨日も言ったけど、日に日に静が遠くに感じるようになったの、わかっていたのに…ずっと昨日まで逃げてた」
「……っ、それは私が」
「多分昨日のことがなかったら、今もいつも通りに接していたと思う」
いつのまにか祐樹の瞳はまっすぐに私を見据えていて
。
先ほどとは違い、もうその瞳は揺らいでいない。
雪夜の言う通りだった。
ずっと一緒にいたのに、私は祐樹のことを何ひとつわかっていなくて───
「静、俺に全部話してほしい。
抱えてることも全部」
迷いのない言葉に、思わず涙が出そうになる。



