危険な愛に侵されて。




「あ、ありがとう…職員室に行くんだよね?」
「いや、俺についてきて」

「……?」


どうやら職員室に行くわけではないようで、大人しく祐樹の後ろについていく。

彼は一歩前を歩くけれど、何かと私の歩くペースに合わせてくれていた。


「やっぱ冬だし誰もいないな」
「え、ここ…?」

連れてこられたのは校舎に囲まれた中庭。
木々が生い茂り風通りもいいため、この時期に中庭を利用する人はまずいない。


「ここだとゆっくり話せるだろ?」


わざとらしく『よっこいしょ』と声を出し、ベンチに座る祐樹。

一瞬隣に座っていいのか悩んだけれど、恐る恐る座ることにした。


“ゆっくり話す”

祐樹はさらっとそう言ったけれど、私にとったら重大なことだ。


「ごめん、嘘ついた」
「え…」

「先生の呼び出しっていうのは口実で、ただ静とふたりになりたかっただけ」


中庭に来た時、薄々気づいてはいたけれど祐樹の目的は私と話すことだったようで。

その時彼がこちらを向いて目が合った。