『御園、静音さんだね?』
まだ外は明るい時間帯に怪し気な男に話しかけられたところから、私の復讐は始まった。
それは他でもない、現在の恩師である秋崎さんで。
『……そう、です』
秋崎さんは黒いオーラを纏っており、怖かったけれど周りに助けを呼ぶことはしなかった私。
犯人が捕まり裁かれるまで見届けたいと思っている反面、いつ死んでもいいと思っていたからだ。
『今回の事件は本当に残念だったね』
悔やむ言葉を口にされ、ドクンと心臓が大きく音を立てたのがわかった。
その時私の心に抱いたのは密かな“期待”。
もしかしたら犯人の手がかりを知っているんじゃないかという、期待だった。
『あなた、は…』
『君の両親とは少しばかり関わりがあってね。率直に言うと君の両親は命を狙われていて、とある人間に殺されたんだ』
秋崎さんは私の前に現れた理由をひとつひとつ、丁寧に説明してくれた。
彼自身も犯人を探しており、“一緒にやり返さないか”という誘いの言葉だった。
もちろん私には一切迷いなんてなく───
「静音!ぼーっとしてどうしたの?
せっかく静音の大好きなイケメンが来たのに!」
前の席である友達に声をかけられ、その時初めてはっと我に返った私。



