「し、静音ちゃん…?
そんなに慌ててどうしたの?」
「ごめん鈴、先生に呼び出されてるらしくて教室戻るの遅れるや。先にお昼食べといてほしい」
「わ、わかった…荷物は私が持っていくから置いといて大丈夫だよ」
私の勢いに圧倒されながらも、優しい鈴はわざわざ荷物を持って行ってくれると言ってくれた。
「本当?ありがとう…!
ごめんね、先行きます!」
急ぎすぎて、この冬の寒い時期なのにブレザーを羽織らずシャツ姿で外へと出る。
まだ体育終わりだったため体感温度的にはちょうど良かったけれど、きっと時間が経てば寒くなることだろう。
「……そんな焦らなくてもいいのに」
更衣室の近くにある水道で待ってくれていた祐樹は、私の姿を見るなり目を細めて笑った。
恥ずかしくなって少し頬が熱くなったけれど、祐樹の笑い方はやはり大人びており違和感があった。
「ご、ごめん…」
「ほら、リボンの位置もずれてる」
そう言って制服のリボンを整えてくれる祐樹。
絶対今ので相当急いでいたことがバレた、恥ずかしい。



