そんなのわかっている。
きっかけがあれば私だって話をしたいと。
けれど過去の話をする勇気はないのだから、自分が何をしたいのかわからない。
「……はぁ」
結局今日はため息の数だけが多くなり。
授業中、祐樹の後ろ姿に何度か視線を向ける程度で時間だけがすぎてしまう。
このまま、関わりをなくして終わってしまうのだろうか。
『静!静、しっかりしろ!』
両親を失い、ただ抜け殻のように過ごす日々の中で。
祐樹は常にそばにいてくれ、時には厳しい言葉もかけられたけれど。
『俺は絶対、静をひとりにさせない』
どれほど祐樹に支えられてきたのだろう。
あの頃の私はただ両親を殺した相手を恨み、悲しみに浸って。
祐樹に対して何の感謝も伝えられていない。
その上闇に手を伸ばしてしまったため、祐樹の顔をまともに見れないでいた。
汚れた自分と純粋な気持ちでそばにいてくれる彼。
あまりにも違いすぎると比べる日々。



