その間に雪夜は着替えをほとんど済ませ、ネクタイを締めていた。
制服姿へと変わった雪夜には幼さを感じて。
そのためやっぱり彼もまだ高校生なのだと思わされた。
「あー、眠てぇ」
「昨日から寝てばっかのくせによく言う」
車の中でも寝ていたし、夜も私より先に寝た彼。
どれだけ睡眠時間が足りてないのだろうか。
「お前が睡眠薬みたいな存在だからな」
「……褒めてる?」
「一応。お前といると眠たくなる」
少し複雑だ。
何より“睡眠薬みたいな存在”という言葉が余計な気がしてならない。
「全然嬉しくないんだけど」
「俺は嬉しい。
途中で目が覚めずに寝れるのは気が楽だからな」
その時ふと、雪夜の目が切なげなものに変わった気がして。
この話は軽く流して触れるべきではないとわかっているのに、思わず口を開いてしまう。
「やっぱり、目が覚めると疲れる?」
「……まあな。
何回も目が覚めるし、何より夢を見るのが怖い」
どきりとした。
自分から聞いたくせに、雪夜の口から出た“怖い”という言葉に対して。



