「……不安?」
寝起きなのだろう、雪夜の掠れた声が耳に届いた。
「不安って何が?」
「祐樹とのこと」
ぎゅっと、腕に力を込められた気がした。
「……うん、不安」
とっても不安だし、緊張する。
雪夜は大丈夫だと言ったけれど、無視されてしまう恐れだってあるのだ。
“もう私とは関わらない”という意味を込められていたらどうしようって。
「俺も不安」
「……は?」
「お前が祐樹のところ行きそうで」
いきなり何を言いだすんだ、こいつ。
祐樹との関係がどうなってしまうのかと、不安の私に向けた言葉ではない。
まるでこの後のことがわかっているかのような、そんな言い方だった。
「祐樹とどうなるか、まだわからないし…」
「決まってるだろ。お前は絶対揺れる」
目が覚めたのか、私の腰に手を添えて支えながら起き上がる雪夜。
自然と私の上体も起こされる。
揺れるって、いったい何のことを指しているのだ。
主語が足りていないからわからない。