危険な愛に侵されて。




「……御園?」

名前を呼ばれてハッと我に返る。



「もうすぐで準備終わるから大人しく待ってて」
「いや、お前の様子がおかしかったから」

「別に通常運転だけど?」


少しだけ雪夜を睨むように見つめたあと、写真は手に持ったまま残りの荷物もキャリーへと詰め込む。



そういえば、この男の子はいつも左側にいた。
この子だけ私のことを『おとちゃん』と特別な呼び方をする。

そんな彼のことを私は───


『すずくん、今日は何して遊ぼうか!』


思い出した。
彼の名前は“すずくん”だ。

雪夜ではない。


だって彼は“涼雅”という名前で。
“すずくん”とはまったく当てはまらない。

やっぱり人違いだったのだと安心するけれど、彼が『おとちゃん』と呼んだ謎は未だに解決しない。


もしかして“すずくん”と関係のある人物なのだろうか。

例えば兄弟とか。
双子とか。


いや、双子だったとしてもこの写真の“すずくん”と雪夜は似てなさすぎる。