危険な愛に侵されて。




自分だけが乱されているようで不服に思いながらも、キャリーケースを押入れから取り出すところから始めた。


雪夜が待っているということもあり、必要最低限の荷物をサッと中へ詰める。

一応拳銃や護衛用のナイフも持っていくために、キャリーへ入れておいた。


「武器も持っていくのか」

玄関から部屋の様子が見えたのだろう、壁にもたれながら雪夜がそんなことを聞いてきた。


「一応ね。最低限のやつぐらいは」
「用心深いな……って、なんだその白い粉」


雪夜と言葉を交わしながらも、今度は小さなタンスから睡眠薬を取り出した私。

それを何かのクスリと勘違いしたのか、すかさず突っ込んできた。


「睡眠薬」
「自分用か?」

「いや、相手用。
警戒心の弱い相手だとこれで勝てるから」

「……怖い女」


まったくそんなこと思っていないくせに、いちいち大きな反応をしてくる彼。

それにムカついた私は、タンスいっぱいに入ってある睡眠薬をすべて取り出し持って行ってやろうと思った。


「おい、そんな持っていく必要あるか?」
「不眠症の雪夜くんのためにあげようと思って」


嫌味を込めて話し、睡眠薬を取り出した時。

一枚の写真がヒラリと宙を舞い、そしてベッドの上へと落ちた。


「……こんなところに…?」

睡眠薬の下に埋もれていたのだろうか。

こんなところに写真があったなんて覚えていなくて、どうやら睡眠薬を取った弾みにひっついてきて落ちたらしい。