危険な愛に侵されて。




「……やっぱり私、雪夜と会ったことあるの?」


ドクドクと脈打つ音が速くなり、脳裏に一瞬何かが過ぎる。

昔、それはまだ小学生になり始めた頃───



私と祐樹と、それからあとひとり、隣にいたような気がする。

靄のかかった過去の記憶。
まるで思い出すことを拒否するような。


「もしかして、まだ思い出してないのか?」

驚いたような祐樹の表情。
何度も首を縦に頷く。


「うん、だから教えてほしい」

雪夜との過去を。
いったい私たちはどんな関係だったのかって。


「……嫌だ」


けれど、祐樹ははっきりとそれを拒否した。


「どうして?」
「先に静から教えてくれないと、言わない」

「……っ、教えるって何を」
「静が俺に隠してること全部」


嫌だ、絶対に言いたくない。
軽蔑されることが嫌で、怖くて。

首を何度も横に振る。


「……でも涼雅は知ってるんだろ?」
「え…」

「なあ静、俺たちって幼なじみだよな?」


うん、幼なじみだよって、すぐに答えられたらどれだけ良かっただろう。

“幼なじみ”と言い切れないほどに、私は彼に隠し事をしている。