「ちょ、力強いって…」
「お前だからいいんだよ」
「あー、もうわかったから未央ちゃんみたいな癒し系でも捕まえて寝とけば?」
「……かわいくねぇ」
つまらなさそうな声を出す雪夜だったけれど、そんなの自分が一番わかっている。
未央ちゃんのような素直で純粋な人間に私は到底なれない。
「かわいくない人間でごめんなさいね」
「……ムキになるのはかわいい」
ひどく優しい声に調子が狂う。
貶したり、褒めたり。
そんな雪夜に感情が左右される私も私だ。
「あー、もっと早く転校しとけば良かった」
「……何、いきなり」
「そしたらお前ともっと長くいられたのに」
「別に変わんないでしょ」
たかが数ヶ月くらいで、今の関係が変わっていたとは考えにくい。
「変わる。
もっと長くお前といられたのに」
朝だからだろうか。
やけに雪夜が素直というか、様子がおかしい。
「バカじゃないの。私は会いたくなかった」
「……バカでいい」
雪夜はそう言うと黙ってしまい、少しすると小さな寝息が聞こえてきた。
結局未央ちゃんが部屋にやってくるまで、雪夜が目を覚ますことはなかった。



