「でもそこで寝れたら良かったんじゃない?」
「もう二ヶ月くらい前だけどな」
「……え?」
驚きのあまり顔を上げると、雪夜は目を細めて優しい笑みを浮かべていた。
「だから久しぶりに寝れたって言ったろ」
「二ヶ月ってあんた…倒れるよ?」
「短い睡眠時間に慣れてるから平気」
平気って、体は限界なはずだ。
「本当にバカね。
女と一緒にいないと眠れないの?」
最初は未央ちゃんのような癒し系の子と一緒じゃないと眠れないのかなと思ったけれど、そうなれば今日も眠れたことに繋がらない。
だから結局は女がそばにいないと眠れないのだろうと思ったけれど───
「お前だから眠れたんだろ」
あっさり“私”のおかげだと彼は告げた。
「冗談はやめて」
「冗談で言えるか、こんなこと」
「信じるわけないでしょ。
それに私の前でよく無防備な姿見せられたわね」
呆れ口調で言ってやると、また雪夜が抱きしめる力を強めてきた。



