「……なんか、怖がらせてるみたいだね」
もちろん神田本人にバレていたようで。
私に視線を向けられる。
それがまた怖くてビクッと肩が跳ねた。
ダメだ。
一度神田のことを怖いと思ってしまうと、この恐怖心から逃れられない。
まるで植えつけられているかのようで。
「どうせ拓哉が一回こいつ脅そうとしたんだろ」
「脅そうとしたつもりはないよ。ただ侵入者だと勘違いして」
「拓哉って基本怖いからな。
言葉とオーラで相手黙らせるから」
雪夜の言葉を聞いて、私は素直にそうだと思った。
神田の声質やトーン、雰囲気。
さらには冷たい瞳が相手の恐怖心を駆りたたせる。
戦う前に“この人には勝てない”と思わせられるのだ。
「……む、神田くん、静音ちゃん怖がらせたの?」
ふたりのやりとりを聞いていたのはもちろん私だけでなく、彼女も聞いていて。
少し責めるような口調で神田に話しかけていた。
「今は怖がらせてるつもり、ないんだけど…」
「ダメだよ、静音ちゃんを怖がらせたら」
すると次の瞬間、彼女は驚くべき行動に出た。
なんと神田の両頬をつねり出したのだ。
まったく痛そうではないのだけれど、神田は一切抵抗せずにニコニコ笑っている。
雰囲気から彼女のことがとても好きだと伝わってきた。



