危険な愛に侵されて。




彼は同じようなキスを何度も繰り返してきて。

こんな優しい触れ方もできるんだと素直に驚きつつも、すべて受け入れる私。


けれど焦れったい。
こんな優しい触れ方には慣れていないから。

キスを繰り返されるたび、物足りなさが募っていく。



もっと激しいものが欲しい。
こんなものでは満足できない。


「……ふっ、葛藤してんの?」

じっと雪夜を見つめる私に笑いかけてくる。
絶対見透かしているのに。


彼はキスをやめて私の頭を優しい手つきで撫でた。


相変わらず、ずるい男。
こんなにも惑わせてくるのだから。



「私……」

誘惑に負けた私は、諦めて口を開く。
雪夜の欲しい言葉を───


「あんたのものになってもいいよ」


ただ少し、上から目線な言い方。
こうでもしないとやっていけない。

こっちにだってプライドがある。


「……そういうところも嫌いじゃねぇよ」


目を細めて満足そうに笑う彼。


『おとちゃん』


その笑顔が少し無邪気に思え、ふと脳裏に浮かんだある人物と重なった気がした。

はっきりとは思い出せないけれど、多分小さい頃の記憶。