「ずるい、そんなの…」
「俺を殺そうとしたんだから、償いの意味を込めて言うこと聞くのが当たり前だろ」
そんな無茶苦茶な理由が通るとでも思っているのか。
「命狙ったのは、謝るけど…雪夜だって、否定しなかったじゃん」
「“人殺し”だと思ってる奴に否定したところで信じると思うか?」
「うっ……そんなの、知らない」
雪夜の言っていることは正しいかもしれないけれど。
だからといって私が償えはおかしい。
「償わないからね」
「へぇ、この状況でそんなことよく言えるな?」
いつもの余裕たっぷりな笑み。
思わず俯こうとすれば、制するように彼が顎を持ち上げてきて。
雪夜の視線から逃れられなくなる。
動揺するなと何度も自分に言い聞かせるけれど、やっぱり色気がダダ漏れの彼を見ると鼓動が速まってしまう自分がいた。
おかしい、おかしい。
本当に今日の私はおかしい。
怪我を負ったからだろうか。
それとも雪夜が復讐相手ではないとわかったからだろうか。
とにかく今日は情報量が多く、頭がパンクしそうな上に精神が不安定なのだ。
コロコロと感情が変わってしまう。



