「雪夜、お願い…楽になりたいの」
「逃げようとするな」
そんなこと言われたって。
標的がなくなった今、どうすればいいのかわからなくなる。
また親を殺した“誰か”に復讐するため、あの地獄が始まるの?
そんなの吐き気を催すほどに嫌だ。
「苦しいの……こんな汚い人間、生きてる意味ない」
それならいっそ、その道を選んだほうが楽になるのではないかと思う。
「汚くねぇよ」
息をするのでさえ苦しくなって、ただただ雪夜にしがみつきながら訴えていると。
彼は私の言葉に対してはっきりと否定した。
「絶対、嘘だ…だって私、今まで」
「そしたら俺も人のこと言えないだろ」
「でも嫌でしょう?こんな…」
「わざわざ口にする必要ねぇ。
俺が違うっつってんだからそうなんだよ」
本当に強引な人。
自分勝手な発言のはずなのに、少し心が楽になった気がするから不思議だ。
「……馬鹿。どうして庇うの」
「庇ってない、事実なだけ。
相当な覚悟もいったろ?」
「……っ」
覚悟は必要だった。
けれどあの頃の私は必死で。
ただ無我夢中に技術を磨いていって。
気づいた時にはもう後戻りできない状態にまでなっていた。



