三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零



「つーかさ、親父。
ここにいつまでいる気だよ」


周りは大人だらけだし
喧嘩は始まるし
居心地が悪い。

俺は耐えきれなくなって聞いた。

さっき席を立った女は、
それっきり戻ってこないし、
未成年の俺は酒を飲めないから
飲むものもない。


「んー…今日は
情報収集ができなさそうだし、
風俗にでも行く?」


親父が涼しい顔に戻り
バカげたことを口にした。

どうせそこへ行ったって、
俺には何もすることがない。

それに、親父と同伴でも
行ったとなればクソババァが
黙ってないだろう。


「とっとと家帰ろうぜ」


俺が言ったときだ。
着物を着たオーナーが、
俺たちの席に近づいてきた。


「あら、湊さん。
来てくれていたのね」

「やぁ、久しぶり。
いつ以来だっけ」