三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零



闇の世界の情報を得られないどころか、
変な喧嘩が始まった。
キャバクラなんか、
いいことないじゃねーか。


「金が必要だか
何だか知らないけどね、
キャバクラ嬢は
遊びなんかじゃないの!」


再び小春が怒鳴った。
俺は喧嘩の方に目を向ける。

サラリーマン二人は
なだめるのを諦めたようで、
酒の入ったグラスを口に運ぶ。


「小春、他のお客様に迷惑よ」


見かねたのか、
着物を着た女が店の奥から現れた。


「…ママ」


小春が何か言いたげに口を開き
すぐに口を閉ざす。

ママ、ということは
着物の女がこの店の
オーナーのようだ。