もしかしたら、
あの悪魔が家の中に
いるかもしれないと思ったから。

だけど、
家の中は静まり返っていて、
あの女どころか、

私以外の生き物は
何も存在していないように感じた。

私は痛む体を
無理に動かし、

中身の散らばったカバンを手元に寄せた。


「アイツ等…
派手に散らかして…」


少し埃の溜まった床の上に
転がっている財布をカバンにしまう。

学校の用意も床に散乱してるのを
一式しまい、

私はカバンに物をしまう手を止めた。


「…やっぱ、ない」


数時間前にもらったばかりの
給料が入った茶色い封筒は、
忽然と姿を消している。

あの女が持って行ったに違いない。

私はため息をついた。
それから、カバンにしまった
学校用のノートを開く。