【百合side】



薄暗い路地を抜け、
繁華街の奥に進む。

暴走族がたむろする道を
通っていると、
彼らがひそひそ話す声が聞こえた。


「見ろよ、学生だぜ?」

「こんな時間に出歩いてるってよ」

「相当なワルだな」


何とでも言えばいい。
私は下唇を噛みしめた。

携帯電話を見ると、
時間は日付が変わる数分前だった。

ギリギリだ。

道を左に曲がり、
ネオンが光る風俗店の前に立つ。

ここが、私の職場だ。

キャバクラと風俗店。

その二つの店を掛け持ちで
バイトしても、お金は
不十分だった。