「あぁ、言わないよ」 親父が静かに言った。 「リリーはね、 母親と二人暮らしを しているんだけど、 母親が無職なのよ。 だから、生きる為に ここで働いているの」 リリーが煙草を灰皿に押し付け 再び口に銜える。 それから黒いドレスに落ちた灰を 払う動作をした。 金色の髪を肩に流し 露出の多いドレスを着たその姿は 落ち着いた雰囲気を漂わせてるが まだ若いようにも見える。 もしかしたら、 俺と年が近いかもしれない。 「気になる?」 いつの間に移動したのか オーナーが俺の隣に座っていた。